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グラン・トリノ

Grantrino
点数: 85点
原題: Gran Trino(グラン トリノ[車の名前])
公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/
映画館: 川崎チネチッタ(チネ5)
監督: クリント・イーストウッド
出演: クリント・イーストウッド、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、ドリーマ・ウォーカー、ビー・ヴァン
製作国: アメリカ(2008年)

〈ストーリー〉
息子や孫たちの言動や格好が気に食わないウォルト(クリント・イーストウッド)は、妻に先立たれ、息子たちから施設に入るように言われても頑として受け付けない。
彼が住む中西部の街は、最近白人以外の移民が多く住むようになり、彼の家の隣にもベトナム移民のモン族の一家が引っ越して来た。
ただでさえ隣に黄色人種が住むことを嫌っていたウォルトの家に、ある日愛車「グラン・トリノ」を盗もうと隣の家の息子タオ(ビー・バン)が侵入した。
タオは、同じモン族のギャングの従兄に盗みを強要されてしょうがなく盗みに入ったのだ。
タオの姉スーがメキシコ人にからまれているのを救ったウォルトは、スーに誘われてスーの家のパーティに参加する。
息子達や神父にすら心を開かないウォルトなのに、何故かモン族の一族といると心が休まり、普段口にしないような冗談ですら飛び出し、うち解ける。
車を盗んだお詫びにウォルトの家の手伝いをすることになったタオにウォルトは、息子のように世話をするが、ギャングの従兄達はそれが気に食わなかった。
(公開直後のため、ストーリーはここまで)

〈感想〉
全編差別用語オンパレードの、人種差別を前面に押し出した傑作。
実は、人間の内にある差別は人種が違うからではなく、信頼できるかどうかだということを示すため、あえて人種差別用語を多用している。
有色人種に対してだけでなく、イタリア人とかポーランド人とかユダヤ人とか、ありとあらゆる人種のステレオタイプを例にしている。
ウォルトには、朝鮮戦争で人殺しをしたという心の傷があり、そのため人に心を閉ざすようになった。
しかし、アメリカ人が失ってしまった親戚同士の堅いつながりに心のよりどころを見るウォルトの姿に、今までみたことのないアメリカ人本来の姿を映しだしていて、驚かされる。
イーストウッド史上最高の映画と言われているが、78歳にしてこういうテーマの映画を撮ろうと思った彼の姿勢を尊敬する。
ガンマンとしてアメリカ人男のステレオタイプを演じ続けて来たイーストウッドが演じるからこそ、ウォルトの心の変化がよりリアルに見えるのだ。
祝日のレディースデーのせいか、場内はほぼ満席で、日本人にもまだまだ映画を選ぶ目が残っているのかと思うと嬉しくなる作品だった。

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