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unknown アンノウン

Unknown
点数: 70点
原題: Unknown (不明)
公式サイト: http://www.movie-eye.com/unknown/
映画館:チネチッタ川崎
劇場: スクリーン5
監督: サイモン・ブランド
主演: ジェームズ・カヴィーゼル 、グレッグ・キニア 、ブリジット・モイナハン 、ジョー・パントリアーノ 、バリー・ペッパー 、ジェレミー・シスト
製作国: アメリカ (2006年)

ストーリー
男(ジェームズ・カヴィーゼル)が目を覚ますと、そこは倉庫のような建物の床で、まわりに数人の男達が倒れていた。一人は椅子に手足を縛られて、一人は顔から血を流してうつぶせに、もう一人は腕に手錠をかけられ胸から血を流して引っかかっていた。
自分が誰なのか、一体何故ここにいるのかまったく記憶が無い。そのうち別の部屋で電話が鳴り、男が電話を取ると相手が勝手に自分の名前を呼んで話始めた。どうも犯罪がかかわっているらしい。
そのうち、周りの男達も意識を取り戻し始め、上の階でも別の男(バリー・ペッパー)が無傷で目を覚まして来た
。床に倒れていた男(グレッグ・キニア)も目を覚まし、最初に記憶を取り戻し始める。彼は自分をマッケインだと名乗り、無傷の男をコールズと呼んで二人は他の男達に誘拐されたのだと告げる。
しかしコールズは、最初に目を覚ました男のほうを自分の仲間だと信じようとする。
そのうち、誘拐犯仲間から電話がかかって来て夕方に戻って来ると言う。誘拐された側も誘拐した側もこのままだとみんな殺されてしまうと思い5人は協力して倉庫から脱出しようとするが、、、、。
(公開間もないので、ストーリーはここまで)

<感想>
地味な作品だが、誰が本当に犯人なのかわからなくて、結構楽しめた。
しかも最後にどんでん返しがあって、さらにその先にもどんでん返しが、、、、。
善人と悪人が入り乱れて先が読めないところが、ちょっと『インファナル・アフェア』に似ていた。
なんとなく低予算っぽい映画だが、お金かけていっぱいかけてもつまんないハリウッド映画より、こんな風に脚本が練りこまれた映画のほうがよっぽど面白い。
ただこうゆう地味な映画は、上映館も宣伝費も観客も少ないのが事実。
せっかくいい映画作っても、配給会社がちゃんと本腰入れて宣伝しないと、お客が入らないって。

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罪の王 キング

Theking
点数: 72点
原題: The King(王)
公式サイト: http://www.king-movie.jp/
映画館: アミューズCQN
監督: ジェームズ・マーシュ
主演: ガエル・ガルシア・ベルナル 、ウィリアム・ハート 、ペル・ジェームズ 、ローラ・ハリング 、ポール・ダノ
製作国: アメリカ (2005年)

ストーリー
海兵隊を除隊したばかりのエルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、自分の父親デビッド・サンダウ(ウィリアム・ハート)に会いに行く。
今は牧師をしているデビッドには、妻と高校生の男の子ポール(ポール・ダノ)とその妹のマレリー(ペル・ジェームス)がいて、厳格な家庭を築いていた。そんなデビッドにとって昔の罪によって出来た息子の突然の訪問は迷惑以外の何ものでもなく、冷たく追い返してしまう。
エルビスは、マレリーに近づきまたたく間に二人は深い仲になる。マレリーとエルビスの仲を知ったポールは、一人でエルビスに会いに行き「妹に近づくな!父親に言いつける」と宣言するが、かっとなったエルビスはポールを果物ナイフで刺してしまう。
ポールが行方不明になって、デビッドの気持ちに変化が起きエルビスを受け入れようとする。かつてデビッドがエルビスの母に対して犯した罪をすべて水に流して、、、、。

<感想>
ネットの前評判を見るとあんまり良くなかったが、私は好きなタイプの映画。
キリスト教信者をちょっと揶揄しているのかと思うフシもあって、キリスト教徒が見るとあんまり気分がいい映画じゃないかもしれないけど、映画で描いていることが現実なんだと思う。
一度犯した罪を告白して懺悔さえすれば罪が償われるなんてこと、ありえないんだっってこと。だったら謝りさえすればなんでもすむじゃない。
ガエルが出演しているだけで、ゆるいテーマの映画がグッと引き締まる。彼の演技力と存在感ってすごい。
今まで彼の英語の映画って『dot the i』しか観たことなかったから、アメリカ映画でアメリカ人を演じるってどうよ?って思っていたけど、よく考えたらガエルはメヒカーノで、つまり大まかに言えば彼もアメリカーノなわけ。だからアメリカ映画のほうがメキシコに近くてとっても似合っていた(少なくともスペイン映画よりも)。
こんなに悪い役やってもガエルだから許せちゃうのよねー。懺悔さえすれば。。。。

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日本の自転車泥棒

Jitensya
50点
公式サイトhttp://www.jitensyadorobou.jp/
試写会場: シネマ・アンジェリカ(完成披露試写会)
監督: 高橋忠和
主演: 杉本哲太 、藤田弓子 、高野志穂 、伊藤久美子 、鈴康寛 、神津はづき
製作国:日本 (2006年)

<ストーリー>
ある冬の朝。岩手県の釜石市から、一人の男が自転車を盗んで走り出した。
行く宛てもなくただひたすら自転車をこいで南下する男。
遠野市、古川市、白河市などを経て、他人と一瞬は触れ合うが深入りせずに、自転車を乗り換えて進む男。
男は、かつて競輪の選手だったが、チェーンがはずれて転倒してしまったのだ。
(公開が先のため、ストーリーはここまで)

<感想>
映画が始る前に、主演の杉本哲太さんご自身から「僕の顔ばっかり出てくるので、飽きないでください」っていう忠告が。
このありがたい忠告のおかげで、わけがわからない最初の部分も眠くなることもなく乗り切れた。
そもそも、もともと私はこの手のロードムービーが苦手なのである。
ロードムービーと言えば世界的著名人のビム・ベンダースの『パリ、テキサス』をナスターシャ・キンスキー目当てで見たときから、もうわかっていたことだ。
あの伝説的なロードムービー『バグダッド・カフェ』だって、まったく意味がわからないまま終わってしまった。
上記2つに比べると、日本映画だけあって、今回の映画はまだわかりやすかった。
アメリカみたいに砂漠チックじゃなくて、冬の雪とか田んぼの風景とか、なじみがあるもんね。
でも、そもそも雪道を自転車なんか乗る人っているの?東北はどうか知らないけど、私の田舎の富山じゃ雪道に自転車乗る人なんて皆無だった。
それと、この映画が何故か最初に公開になるのが、今日行った東京は渋谷のシネマ・アンジェリカっていう劇場と、もうひとつはその私の田舎・富山の劇場の全国で2つきりなの。
何故に富山????って思って、質問したかったけど、エンドクレジットを見て北日本放送が制作に協力していることを知って、多分そのせいであることが判明。でもその前に何で北日本放送がこの映画に出資したのか、やっぱり疑問。富山が映画に映っているわけでも無いのに、、、、。

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ウィンター・ソング

Perhapslove
点数: 70点
原題: 如果・愛(なぜなら、愛だから)
公式サイト: http://www.kadokawa-herald.co.jp/official/winter_song/
映画館: 有楽町スバル座
監督: ピーター・チャン
主演: 金城武 、ジョウ・シュン 、ジャッキー・チュン 、チ・ジニ
製作国: 香港 (2005年)

ストーリー(ラストまで書いてあります。知りたくない人は読まないでください)
10年前に恋人同士だった林見東(金城武)と孫納(ジョウ・シュン)は、今は小雨の恋人である聶文監督(ジャッキー・チュン)の映画に出演するため再開する。
かつて孫納は、女優になるために林の前から突然姿を消したのだった。林は、今でもそのときの辛い思いが忘れられず不眠症になっている。
一方、最近映画制作に自身を失っている聶文監督は、孫納と林の仲に最初は気づかずに、三角関係を描いた映画に自ら出演することを決める。
林に自分に付きまとうなと忠告するために、林を試写室に呼んだ孫納だったが、逆に林から抱き寄せられ、それを偶然聶文監督が目にする。
聶文監督が突然姿を消し、撮影が休みになった日、林はかつて孫納と一緒に住んでいた北京の倉庫に孫納を連れて行き二人は抱き合う。
翌朝孫納が目を覚ますと林の姿は無く、かつて自分が林にしたのと同様にテープレコーダーに吹き込まれた林の伝言を聞く。
一旦は孫納の元に戻った林だったが、結局元のサヤに収まることは出来ず、聶文監督も孫納との仲を清算する。

<感想>
実は香港版DVDを持っていて、一回観たんだけどやっぱり細かいところまで理解していなかったので、今日映画館に観に行った。
踊りや歌など、きらびやかでスケールの大きい映画なので、映画館で観て大正解。
ラストがどうなったのか覚えていなかったが、結局みんな別れちゃったのね。
というか、人生をリセットしてこれからが本番なんだというところで、ストーリーは終わっている。
10年間ずっと孫納のことが可愛さ余って憎さ100倍だった林だが、結局は昔のような愛情はもう心の中には残っていない。一度壊れたものは、元に戻らないものね。
DVDで観たときも思ったけど、あのチ・ジニの役って、別にチ・ジニじゃなくてももっと普通の香港俳優でよかったような、、、、。
それから、金城武の相手役としては、ジョウ・シュンって結構はまり役だと思う。
早くスー・チーと競演している『傷城』が観たいなー。きっとまた一年後?

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幸福な食卓

Kofukunashokutaku
85点
公式サイトhttp://www.ko-fuku.jp/
試写会場: 新宿ミラノ座(at 東京国際シネシティ フェスティバル)
監督: 小松隆志
主演: 北乃きい 、勝地涼 、平岡祐太 、さくら 、羽場裕一 、石田ゆり子
製作国:日本 (2006年)

<ストーリー>
「父さんは、今日で父さんを辞めようと思う」という、父親(羽場裕一)の衝撃的な発言で始まった今日の中原家の朝食。
中学生の娘の佐和子(北乃きい)と、高校卒業後大学進学を急に辞めて今は農園で働いている直ちゃん(平岡祐太)は、父のその言葉を受け止めるしかなかった。
3年前に教師だった父が自殺未遂してから、中原家は家族崩壊し、母親(石田ゆり子)は家を出て近くに一人でアパート暮らししている。
多感な年頃の佐和子だったが、家族に対する気持ちは決して表に出さなかった。そんな佐和子のクラスに、明るい性格の大浦勉学(勝地涼)が転校生としてやってきて、クラス委員の佐和子の隣の席に座る。
佐和子とは育った環境も正確もまったく違う大浦と佐和子は次第に惹かれあって、切磋琢磨して生きて行き、佐和子の心にも幸せが訪れるが、、、。
(公開が先のため、ストーリーはここまで)

<感想>
ちょっと奇抜で、普通にはありえないストーリーですが、現代の日本の家庭のあり方や、現代人の心を的確にとらえていて、私はものすごく気に入りました。
ちょっとネタバレになっちゃいますが、この映画にも登場人物の「死」があります。
でも、今年観た邦画では、例えば『ただ君を愛してる』とか『虹の女神』は、一人の人間の死は、恋人である人間にしか意味をなさないのに対し、この映画は一人の人間の死のおかげで、もっと多くの人が救われます。
原作は読んでいませんが、このストーリーのすごいところはそこだと思います。
生き物の生死には全て意味があるという言葉をよく耳にしますが、この映画はそういうことを端的に語ってくれて、ましては主人公がまだ若いということもあり、最近の邦画ブームにさらなる発展をもたらしてくれるでしょう。
最近イジメを理由に自殺する若者や、人生に愛想を尽かして自殺する中高年が多いですが、そういう方に是非観ていただきたい一本です。

ここからはネタバレなので、反転させます。
明日がクリスマスで、幸せいっぱいの佐和子を写す画面から、突然葬式に画面が変わったときは、大浦のおじいちゃんか誰かが死んで、それで一緒にクリスマスを祝えなかっただけかと思った(前におじいちゃんが持ち直したって言ってたから)。
それが大浦自身の葬式だと知ったときは、あまりの展開に本当にびっくりした。
16歳で彼氏と死に別れするって、どんな気持ちなんだろうって、佐和子が可愛そうで仕方なかった。
私は16のとき、彼氏なんていなかったから彼女の気持ちがわかんないけど、私ならきっと布団からしばらく出てこれないと思う。
佐和子が父に向かって言う「死にたかったお父さんが助かって、生きたかった大浦君が死ぬなんて変だ!」っていう言葉は、今現在沢山いる自殺志願者に対する強烈なメッセージだと思う。
普通の映画なら、このまま悲劇で終わってしまうところだが、この映画の素晴らしいところは、佐和子が若いだけに、大浦の肉体はこの世から消えても、大浦が佐和子にくれたやさしさや言葉を心の支えにして、立ち直るところ。
人間の死は、決して無駄にはならないんだなあ、ってこの映画で実感できた。

最近観た映画の中では、生きていく上で一番お勉強になった作品です。

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麦の穂をゆらす風

Thewind
点数: 90点
原題: The Wind That Shakes The Barley(大麦を振るわせる風)
公式サイト: http://www.muginoho.jp/
映画館:チネチッタ川崎
劇場: スクリーン3
監督: ケン・ローチ
主演: キリアン・マーフィ 、ポードリック・ディレーニー 、リーアム・カニンガム 、オーラ・フィッツジェラルド 、メアリー・オリオーダン 、メアリー・マーフィ
製作国: アイルランド=イギリス=ドイツ=イタリア=スペイン (2006年)

ストーリー
1920年、イギリスが軍事支配しているアイルランドでは、毎日のようにイギリス軍の暴行が行われていた。
集会が禁止されているのに、ハーリング(ホッケーのようなアイルランドのスポーツ)を行ったとして、デミアン(キリアン・マーフィ)やその恋人シネード(オーラ・フィッツジェラルド)の弟のミホール(英語名マイケル)が、壁際に立たされてリンチを受けそうになっていた。
英語が話せないことで誤解を生んだミホールはその場でリンチで殺されてしまう。
翌日ロンドンに旅立つ予定だったデミアンは、駅でもイギリス軍の横行を目の当たりにし、兄のテディ(ポードリック・ディレーニー )たちとともに
アイルランド独立軍に参戦する。
独立軍の抵抗により、イギリスはとうとうアイルランド政府と講和条約を結ぶ。しかし条約の内容はアイルランド側が望む完全独立ではなく、北側は相変わらずイギリスが統治したままだという。
条約の内容に納得が行かないデミアンは、アイルランド政府の政治家となった兄のテディと対立する立場となってしまう。
(公開間もないので、ストーリーはここまで)

<感想>
冒頭10分くらいで、私はこの映画が絶対好きだ!って確信した。
最初はおだやかに楽しそうなゲームから始まって、いきなり主人公たちが戦いを強いられる。
いやがおうにも見るものを惹きつけるような出だしだ。
主人公の心理的な変化の描き方も最高。
最初は消極的だったアイルランドに対する愛国心が、いつの間にか影響を受けた兄の思想をも超えて、独自の建国精神を養っていくデミアン。
結局、銃や暴力で戦っても、それ以上のものは何も得られないということを語っている。
さすがカンヌ映画祭でパルムドールを受賞しただけあって、今年最後のお勧め映画!!

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父親たちの星条旗

Seijouki
点数: 75点
原題: Flags Of Our Fathers(僕らの父親たちの旗)
公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
映画館:109シネマズ川崎
劇場: スクリーン4
監督: クリント・イーストウッド
主演: ライアン・フィリップ 、ジェシー・ブラッドフォード 、アダム・ビーチ 、ジェイミー・ベル 、バリー・ペッパー 、ポール・ウォーカー
製作国: アメリカ (2006年)

ストーリー
たくさんのアメリカ軍海軍の船は、ある島に向かって航行していた。
行き先は、日本の硫黄島。まだ新米兵士たちは、目的地にどんな戦場が待ち受けているかもわからずにおだやかに過ごしていた。
島に到着して、たくさんの兵士が上陸するが、まったく静かなまま敵の姿も見えない。
兵士たちが、山に向かって歩き出すといきなり四方八方から弾が飛んで来て、戦場は地獄と化した。
本来の予定では5日間で落とすはずたった硫黄島だったが、日本軍の抵抗が厳しくてこずったが、徐々に制圧して行く。
上司の命令から、一人の男性が山のてっぺんに星条旗を揚げるように命令される。
最初に掲揚した星条旗は、軍の上層部の部屋に飾るとのことで、別の星条旗を6人の兵士達で立てた写真が、アメリカ全土で感銘を呼び、星条旗を揚げた若者達はたちまり英雄となり、本国に呼び戻すよう命令が下った。
6人のうちすでに3人が戦死していて、戻ったのはドクと呼ばれる衛生兵と、伝令係りのレイニー、ネイティブ・アメリカンのアイラの3人だった。彼らを待ち受けていたのは、戦争の費用が底をついたアメリカ政府の国債を売るためのキャンペーンに参加すること。
行く先々で英雄ともてはやされるうち、本当に前線で戦っていなかった3人は、強い違和感を覚える。
とくにアイラは、前線にいたものの弾をよけるのに必死だった自分が英雄扱いされるのに耐え切れず酒におぼれる毎日。彼はまた戦場に送り返されてしまう。
(公開間もないので、ストーリーはここまで)

<感想>
さすがイーストウッド監督と思える素晴らしい映画だった。
スター俳優がまったく出ていないところも、まるでドキュメンタリーのようで面白い。
アメリカのいいところは、自分の国の悪いところも悪いとちゃんと主張できる点だと思う。
この映画も、かつてアメリカ政府が行ったウソで固めた行為を正々堂々と非難している。
来月公開の『硫黄島からの手紙』を見るにあたって、やっぱりA面にあたるこの映画を見るべきだと思って観に行ったが、正解だった。
この先『硫黄島』を見る予定の方は、必見です!

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三峡好人

Sankyou
40点
公式サイトhttp://www.filmex.net/index.htm
試写会場: 東京国際フォーラムCホール(at 東京フィルメックス)
監督: ジャ・ジャンクー(賈樟柯)
主演: チャオ・タオ
製作国: 中国 (2006年)

<ストーリー>
注)日本で正式公開される可能性が低そうなので、ストーリーを全部載せています。知りたくない方は読まないでください。

山西省から船に乗って、一人の男が三峡ダム建設中の町にやって来た。
男は16年前に別れた妻と子供を捜しに、昔妻が教えてくれた住所をたよりにこの町にやって来たのだった。
しかし、元妻の住所は今はもうすでにダムの下に沈んでいた。元妻の兄の言葉を信じ、次に妻がこの町に船でやって来るまで待つことにした男は、建物の取り壊しの日雇い労働に精を出す。
一方2年間夫から音沙汰が無い女が、山西省からこの町いやってきた。
女は、夫の兵役時代の友人とともに夫を捜そうとするが、彼女が会ったのは夫の愛人とおぼしき女性のみ。
翌日友人が夫を連れて来てくれるが、「忙しかった」の言い訳のみ。
女は夫と心が打ち解けたところで、夫に会いに来た本当の目的を話す。好きな人が出来たから離婚してくれと、、、、。
16年前に別れた妻の船がやって来て、無事元妻と会えた男。
元妻は、ある男の船で働いていたが、それは元妻の兄がその男から3万元の借金をしていたせいだった。
男は、山西省に帰って、一日200元の非政府公認の炭鉱で働き妻を取り返すことを心に決める。
男が去る前夜、家屋の取り壊し作業で共に働いた同僚達が、別れの酒盛りを開いてくれる。
翌朝、男とともに山西省に向かおうとする同僚たちの姿があった。そんな中、男はダムの上の電線を綱渡りする人の幻想を見る。

<感想>
映画を観ている間は、まったくストーリーの意味がわからなかった。
最初に出てきた主人公の男と2番目に出てきた女の関係がよくわからないまま。
ただでさえ意味不明なのに、映像の中で無意味にUFOが飛んだり、建物がロケットに変身して飛んでいったりする。
最後に出てきた綱渡りのおじいさんの比喩は理解できたけど、UFOとロケットは謎のまま。
映画上映後、監督に対する質疑応答があり、そこでようやくUFOとロケットの意味が解決。
UFOは、当初は世間を騒がせた三峡ダムだったが、そのうち世間の関心はまったく無くなった。監督がその場でドキュメンタリー映画を撮っていた時分には、UFOでも飛ばないと人々の関心を引かないと思って映像に入れたらしい。
ロケットは、昔建設を途中で止めたモニュメントが飛ぶのだが、監督の目から見て風光明媚な風景にそのモニュメントがまったくそぐわなかったため、どこかに飛んで行って消えて欲しかったから入れたそうです。
確かに説明を聞くと監督の意図がわかるんですがー、いきなり何の前フリも無く見た人間は「????」ってなっちゃうってー。

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ナチョ・リブレ

Ncho
点数: 60点
原題: Nacho Libre (自由戦士ナチョ)
公式サイト: http://www.nacho-movie.jp/top.html
映画館:キネカ大森
劇場: 3
監督: ジャレッド・ヘス
主演: ジャック・ブラック 、エクトル・ヒメネス 、アナ・デ・ラ・レゲラ 、リチャード・モントーヤ 、ピーター・ストーメア 、セサール・ゴンサレス
製作国: アメリカ (2006年)

ストーリー
メキシコ・オアハカの修道院内の孤児院で育ったナチョ(ジャック・ブラック)は、今は料理人や村の死者の弔い係りとして働いているが、両親がスカンジナビア系だったため、修道院の神父からは「白人」と呼ばれバカにされていた。
彼は、自分と同じ境遇の子供たちを愛していたが、彼が作ってあげられるのはフリホーレス(豆の煮たもの)に寄付でもらったトルティーヤチップスをのせたものだけ。
たまにはサラダが食べたいという子供達の気持ちはわかるが、彼にはどうしようもなかった。
ある日、毎日の日課であるトルティーヤチップスを取りに行くと、その恵みさえ盗もうとした人間がいた。彼の動きは敏速で、まるで野獣のようだった。彼の名はスティーブンス(ヘクター・ヒメネス)。彼の動きを見てプロレスラーにあこがれていたナチョは二人で組んでプロレスの試合に出ようと持ちかける。
地元の新人向けの試合に出たナチョ達だったが、見事に負けてしまう。
負けても主催者から報奨金が支払われ、そのお金で孤児院のみんなにサラダを食べさせるやさしいナチョだったが、修道院ではプロレスは禁止されていた。
ナチョの憧れのシスター、エンカルナシオン(アナ・デ・ラ・レゲラ)もそう唱える一人だった。
その後も何度も何度も試合に出るものの、一向に勝てないナチョ達。
メキシコ一のルチャドーレでナチョの憧れの人のパーティにしのび込んだナチョだったが、その生活ぶりや性格はナチョの憧れとはかけ離れたものだった。
メキシコ一のルチャドーレと偶然試合が決まったナチョ。試合はナチョが不利なまま進むが、そこに孤児院の子供達とエンカルナシオンが応援のために現れる。

<感想>
もっとバカバカしさに期待していた映画だったが、またまた周囲の反応とは関係なく、泣いてしまった。
この映画の時代背景は定かでは無いが、「タイガーマスク」のモデルとなった人物とのことなので、少なくとも40年以上前の話なのだろう。今のメキシコでさえ孤児院の子達はおろか、原住民(インディアンのこと)の生活は極貧なのだから、この当時は本当にフリホーレスすら満足に食べられなかったのだと思う。そんなナチョが、ルチャドーレになって子供達にお腹いっぱいにご飯を食べてもらいたいと思うのは当然のこと。
映画の中で、神の教えの意義と、戦うことの意義を考え、ナチョが悩む場面では、おもわず涙がこぼれてしまった。
そういった背景とはまた別に、この映画の作りにはかなり違和感を覚えた。と言うのもジャック・ブラック以外の主要登場人物はほとんどがヒスパニック系の俳優さん達+ロケ地もメキシコ。この映画の主人公をあえてジャック・ブラックにして全編英語のセリフにする必要があったのだろうか?もちろんジャック・ブラックの演技はいいし、歌もうまかったけど、なんとなく彼だけが「白人」であることにものすごい不自然さを感じた。
もしアメリカ的な、ハッピーコメディに仕立てるつもりなら、アメリカ生まれのヒスパニック系の俳優を使って徹底的にアメリカン・コメディにしたほうがよかったのではないか。
さらに、多分編集が悪いんだと思うが、多分本来は彼が神の教えとLucha Libre との間でもっと思い悩む場面があったのではないだろうか。
ナチョが修道院を出て行ってから、試合に戻るまでの場面とか、メキシコ一のルチャドーレのパーティに忍び込んでナチョが幻滅する場面などいろいろつなぎが悪かったように思える。
本当は、弱いナチョがヒーローになるまでを描いた単純なハッピー映画なんだろうが、私には舞台の背景+編集のまずさが印象に残る映画となってしまった。
ジャック・ブラックの次回コメディ作に期待。

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7月24日通りのクリスマス

724christmas
点数: 80点
公式サイト: http://www.724-christmas.com/
映画館:TOHOシネマズ川崎
劇場: スクリーン1
監督: 村上正典
主演: 大沢たかお 、中谷美紀 、佐藤隆太 、上野樹里 、阿部力 、劇団ひとり、川原亜矢子、YOU、小日向文世
製作国: 日本 (2006年)

ストーリー
舞台は長崎。
市役所勤めの、髪の毛バサバサでダサいサユリ(中谷美紀)は、人間は生まれながらに優劣がついていることを自認している。王子様やお姫様になれる人間と、そうじゃない人間。自分はどう考えてもそうじゃないほうの人間。
少女漫画の影響で妄想癖があり、自分がいる長崎をポルトガルのリスボンに見立てたり、毎週自分が素敵と思った男性に王子様ランキングをつけたりするのが唯一の楽しみだった。
そのランキングで、何年もずっと第一位を続けているのが、大学時代、演劇部の裏方をやっていた頃、知り合った
聡史(大沢たかお)だ。
当時聡史は演劇部のお姫様である先輩の亜希子(川原亜矢子)と付き合っていたが、その後別れて東京で働いていた。
その聡史が久しぶりに長崎に帰って来る。演劇部のOB会にやって来る聡史に会うために、本屋でバイト中で漫画家を目指す幼馴染の森山(佐藤隆太)から雑誌のアドバイスを受け、MOTE女を目指すが、、、。
(公開間もないので、ストーリーはここまで)

<感想>
『嫌われ松子』に続き、今年2本目の中谷美紀さん主演の映画。
思えば、私が今年になって異常に邦画に狂い出したのは、この松子のおかげ。
本作でも、中谷美紀さんがダサい、モテない女の子を演じていて、漫画チックな場面あり、上野樹里ちゃんとのダサダサ・コラボありって感じで、楽しめます。
男の人には、こうゆう夢見る少女のお話って受け入れられるかどうかわかりませんが、女性なら誰でも白馬に乗った王子様が自分を迎えに来てくれることを夢見たもの。
そうゆう女性の気持ちを、いかにもありそうなストーリーで描いてくれるハートウォーミングな映画です。
日本人受けしそうなドラマ物だけじゃなくて、こういったジャンルのコメディ映画も邦画で楽しめるようになったのなら、この先私が欧米の映画を見なくなってしまう日も近いかも。
って言うか最近、日本以外の映画って5本に1本くらいしか見ないような、、、。
このまま超ドメスティックな人間になってしまうのだろうか。日本映画恐るべし。

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ありがとう

Arigato3
65点
公式サイトhttp://www.arigato-movie.jp/
試写会場: 丸の内TOEI1
監督: 万田邦敏
主演: 赤井秀和 、 田中好子 、 薬師丸ひろ子
製作国: 日本 (2006年)

<ストーリー>
1995年1月17日午前5時46分、まだ人々が寝静まる神戸の街中に突然衝撃が走った。
衝撃がおさまったあと、写真店を営む古市忠夫が外で見たのは今まで自分が見たことの無い風景だった。
妻と2人の娘を避難所に向かわせ、町の消防団の一員である忠夫は火災が広がりつつある町の中で人々の救済に走った。
火災が沈下し、人々が復興に向かおうとしたときに、震災に強い町を作ろうと先頭に立ったのも忠夫だった。
町がもとの平和を取り戻す頃、いまだ仕事に身が入らない忠夫は、震災で唯一無傷で残ったゴルフバッグを見て、プロゴルファーになることを決意する。
(まだ公開前のためストーリーはここまで)

<感想>
完成披露試写会で見ました。
舞台挨拶には、万田監督、仙頭プロデューサー、原作者の平山譲氏などの製作側の方たちから、赤井秀和氏、田中好子さん、薬師丸ひろ子さん、娘役の尾野真千子さん、前田綾花さん、親友役の光石研さん、一緒にプロテストを受ける役の柏原収史さん、ほんのチョイ役の正司照枝さん、佐野史郎さん、鶴見辰吾さんなど、豪華なゲストが壇上に上がりました。
こんなに沢山の方々が舞台挨拶に来るくらいなので、映画に対する意気込みはかなりのもののようです。
内容そのものは、赤井秀和さんの本人になり切ったかのような演技と、関西弁で関西のオバちゃん役をこなす田中好子さんの演技が光っていました。
娯楽映画として見るよりは、ドキュメンタリーとして見たほうがいいかもしれません。
冒頭で神戸の震災の場面が結構生生しく出てくるので、実際の被災者の方が見ると泣けて来るんじゃないかな?
御殿場に本物そっくりのセットを作って撮ったらしいので、迫力満点です。
どんな人もみんな、他人に生かせてもらっているんや。ありがとう、という気持ちを忘れずに。

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椿山課長の七日間

Tsubakiyama
90点
公式サイトhttp://www.tsubakiyama.jp/
試写会場: ヤクルトホール
監督: 河野圭太
主演: 西田敏行 、伊東美咲 、成宮寛貴 、和久井映見 、市毛良枝 、桂小金治
製作国: 日本 (2006年)

<ストーリー>
大手デパート勤続30年の椿山(西田敏行 )は、家のローンや妻、子供をかかえてまだまだ働き盛り。
それなのに、ある日勤務先でポックリ死んでしまった。
死んでから4日目に、あの世でのシステムの説明を受ける中、初七日までは現世に戻る権利が与えられる場合があるという。
厳しい審査を通って現世に戻ることが出来た椿山。審査を通過した理由は、生前知る権利がある重大な事実をまだ知らないからだと言う。
ダサいデブのオヤジから、美女(伊東美咲)の姿になった椿山は、さっそく父(桂小金治)や家族の元に向かうが、、、
(まだ公開前のためストーリーはここまで)

<感想>
久々に超快感なストーリー+展開で楽しめた。
そろそろ死を真面目に考えなくてはいけない年齢のせいか、死後の世界にこんなシステムが本当にあるなら、死んでもいいかという気になれる。
ここからはネタバレなので反転します。

結局、椿山がまだ死ねなかった理由は、重大な事実を知らないからではなく、死ぬための精神的な準備ができていなかったこと。
例えば、生前妻の気持ちにまったく気づかないまま鈍感に生きてきたこととか、本当に自分のことを愛してくれている子供や、父親や、同僚の気持ちを知らなかったこと。
そういう人たちの気持ちが真に理解できて、初めて彼は昇天できたのだろう。

自分が椿山と同じ立場だったらどうするかな?
まず天国行きの道を延期してまで現世に未練があるかな?
いい映画でしたが、唯一小さな難点を言えば、西田敏行の美女版として伊東美咲を使ったこと。
こうゆう男女入れ違い系の映画の場合、大抵は若い女性の役を演技派男優が演じることが多いが、この映画の場合逆。
見る前から大丈夫かと心配していたが、やっぱり思ったとおり伊東美咲にオヤジの役はちょっと荷が重すぎたような気がする。伊東美咲さんも頑張っていらっしゃいましたが、もうちょっと年齢がいってもいいから西田敏行さんに見合うだけの演技派女優さんに演じて欲しかったかも(あくまでも個人的な感想ですから)。

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